生きづらさや育てにくさの原因は発達障害?発達障害の種類とその特徴

発達障害の種類とその特徴
発達障害は脳の機能不全で起こるものですが、周囲からは「わがままだ」「自分勝手」と捉えられることも少なくありません。また、「親のしつけがなっていない」と、子どもの言動に対して親が批判されるケースもあります。最近は発達障害の認知が広まったこともあり、自分や子どもに対して「もしかしたら発達障害かも」と思う機会が増えてきました。この記事では、発達障害の種類と特徴について詳しくご紹介します。

発達障害の種類

世の中に発達障害という言葉が知られるようになり、「困りごとを抱えている人がいる」という認識は広がったように思えます。しかし、発達障害の種類や、種類による特性の違いは現在もあまり知られていません。発達障害の種類は大きく3つに分けられます。

自閉症スペクトラム障害(ASD)

以前まではそれぞれ「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」と呼ばれていました。現在はこれらを総称して、自閉症スペクトラム障害と呼んでいます。

ASDはコミュニケーション能力や社会性に関係する脳の機能の障害が起こるものです。自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを汲み取ったりするのが苦手です。音や匂い、温度などに対する感覚が敏感で、人の多い場所ではパニックを起こしやすくなります。

興味や関心の偏りがあり、好きなことは何時間でも集中してやり続けることができます。また、こだわりも強く、規則的な行動を好みます。

なお、知的な発達に遅れがない場合はアスペルガー症候群、知的障害が伴う場合は自閉症と区別されることもあります。

アスペルガー症候群は表面的には言語でコミュニケーションが取れるため、障害に気付きにくいです。子どもの時に場の空気が読めずに周囲を馴染めなかった経験をした人が、大人になって発達障害が原因と診断されることもあります。

学習障害(LD)

「読む」「聞く」「話す」「計算する」「書く」「推論する」など、学習面において特定の能力に障害が起こるものです。全般的な知的発達に遅れは見られず、学習に対してのみ困難が生じていることを指します。

ひらがなを読み間違える(読字障害)、計算ができない(算数障害)など出現する特徴はさまざまです。学習障害は、学習内容が本格化する小学校に困難を感じ始める人が多いです。周囲から「怠けている」「努力が足りない」と叱責されることで、自信を失いやすくなります。

社会人になりメモが取れずに仕事に支障が生じて診断を受け、学習障害(この場合は書字障害)と判明したケースもあります。

注意欠如・多動性障害(ADHD)

発達年齢と比べて集中力がない(不注意)、じっとしていられない(多動性)、急に走り出す(衝動性)などの特徴があります。原因は未だ不明ですが、ドーパミン(神経伝達物質)の不足が一因と推定されています。

ADHDの有病率は小学生の3~7%と言われており、40人学級では2~3人の割合です。発症は男児(男性)が多いとされますが、女児(女性)は不注意優勢が多く、障害に気付かれにくい側面があります。

子どもの時は「ちょっと変わっている子」「落ち着きのない子」として障害が見過ごされがちです。そのため、適切な療育を受けないまま大人になり、初めてADHDと診断されるケースが増えています。

チック症・吃音

発達障害の種類には分けられていませんが、チック症(トゥレット症候群)と吃音は日本の行政では発達障害に含まれています。チック症は本人の意思に関係なく、運動(まばたきや首を振るなど)と発声が起こり、吃音は言葉が滑らかに出てこないものです。共に心理的なストレスが原因で発症することもありますが、症状が長引く場合は発達障害を疑う必要があります。

発達障害の種類は診断時期や状況によって変わることも

発達障害の種類は、最初に診断を受けたもので確定するわけではありません。発達障害の種類は明確に分けられるものではなく、グラデーションのようにそれぞれが混じり合っています。そして、元々持っている性格や年齢、環境などによって、障害の特徴の出方も大きく変わります。

また、学習障害の中でも算数障害が顕著ながら、不注意優勢のADHDを併せ持つという方もいます。

さらに、発達障害と思われる特性がありながらも、診断基準に満たないという理由で診断がつかないグレーゾーンが存在します。グレーゾーンの方は適切な療育が受けられなかったり、支援先と繋がれずに苦しい思いを抱えていたりするケースも少なくありません。

まとめ

悩みを抱えている時、その悩みを打ち明けられる心の拠り所があれば、救われる方は多いのではないでしょうか。身近な家族や友人には話せないことも、他人にならすんなり話せることも多いでしょう。

発達障害は特性を周囲に理解してもらえないことで、うつやパニック障害などの二次障害を引き起こしやすくなります。また、発達障害は本人だけではなく、家族や友人、会社の同僚などにも心理的なストレスがかかりやすいです。

奈良県奈良市の「奈良こころの相談室」では、経験豊富な臨床心理士・三木潤子が悩みに寄り添い、重い荷物の降ろし方を一緒に考えます。遠方で直接話すことができない方には、電話での相談も受け付けています。

「奈良こころの相談室」は年中無休でご相談を受け付けておりますので、何か困りごとや悩みごとがある方はお気軽にご相談くださいませ。